ロックは淑女の嗜みでして 2025

Рок — женская скромность
親の再婚で不動産王の家の娘となった鈴ノ宮りりさは、学園一のお嬢様の称号を得るために、好きだったロックとギターを捨てて淑女として振る舞っていたが、ある時、学園の有名人である黒鉄音羽がドラムを叩く姿を目撃する。音羽からギター弾きであることを見抜かれ、挑発に乗って彼女とセッションしたことをきっかけに、りりさはロックへの思いを再燃させる。

第一話 ごきげんよう・/そんなギターやめちまえ!!!

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^_^

Transcript
00:00:01

(鳥のさえずり)

00:00:07

まあ! フフフフ… フフフフ!

00:00:25

(物音)

00:00:32

(物音)

00:00:34

⚟それでね… ⚟なあに?

00:00:36

(女生徒の笑い声)

00:00:44

(ドラムの演奏)

00:00:49

♬~

00:01:13

(みなみ) やはり私は ショパンの「幻想即興曲」➡

00:01:17

物悲しくて素敵ですわ

00:01:19

(マキ) 私は ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」

00:01:22

先日 コンサートで聴いて感動しましたわ

00:01:25

(園子)あら 羨ましい 私は ドビュッシーの「月の光」かしら➡

00:01:30

とにかく美しいもの

00:01:32

(みなみ)鈴ノ宮さんは どんな音楽を好んで聴かれますの?

00:01:38

(りりさ)そうですわね

00:01:40

ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」は 優雅で繊細で

00:01:45

スペインのノスタルジアが よく表現されていると感じますわ

00:01:53

まあ…! さすがは鈴ノ宮さん!

00:01:56

(園子)なんて深い見方なのかしら

00:01:58

(マキ)この春 転入されたばかりなのに もう 全員が鈴ノ宮さんのとりこですわ

00:02:05

もう… お食事中にお行儀が悪いですよ

00:02:09

(みなみ達の笑い声)

00:02:26

<あ… あっぶね~!>

00:02:29

<クラシックなんて知らねえよ!>

00:02:31

<たまたま昨日 勉強して覚えといて マジラッキー!>

00:02:34

<すぐ眠くなるし あんなの音楽じゃねえ!>

00:02:37

《はっ!》

00:02:39

<ここの連中には 絶対に知られちゃいけない>

00:02:42

<私は 親の再婚で鈴ノ宮の家に入っただけ>

00:02:47

<本当は ただの庶民だったなんて…>

00:02:51

(りりさのおなかが鳴る)

00:02:53

<ああ~ 牛丼食いてえ~>

00:02:58

<桜心女学園>

00:03:00

<そこは一流のレディだけが在籍を許される 小中高一貫>

00:03:06

<男子禁制の超お嬢様学校>

00:03:10

<ここに通う学生の両親は>

00:03:12

<旧財閥をはじめとした政財界のトップや>

00:03:15

<伝統芸能の後継者など>

00:03:18

<日本を表で裏で動かす権力者ばかり>

00:03:22

<かくいう私も 関東の不動産王>

00:03:26

<鈴ノ宮 正の娘として ここにいる>

00:03:30

<大人達のつくった鳥籠で>

00:03:32

<小鳥達は将来の不安を感じることなく 華やかに過ごしている>

00:03:38

<何の刺激もない毎日を>

00:03:42

<今は私も その一人…>

00:03:47

(園子)午後の数学 憂鬱ですわ

00:03:50

鈴ノ宮さん 今度 教えていただけませんか?

00:03:54

数学も英語も 何でもお得意ですものね

00:03:57

褒めすぎですわ でも 私で分かることでしたら何なりと

00:04:02

<まあ 私も必死に予習復習してんだけど…>

00:04:06

(マキ)あっ…

00:04:09

(マキ)学園長

00:04:12

(さゆり)皆さん ごきげんよう (4人)ごきげんよう

00:04:17

(さゆり)鈴ノ宮さん はい

00:04:20

(さゆり)転入して1カ月ですね 学園には慣れましたか?

00:04:25

はい すばらしい先生方とお友達に恵まれて 大変充実した日々を送っております

00:04:32

そう それは結構ですね (みなみ)学園長

00:04:35

鈴ノ宮さんは 本当にすごいんですよ 所作は いつも完璧で…

00:04:39

先日の実力テストでもトップクラス 音楽に関しても お詳しくて…

00:04:44

私達の憧れの的なんです!

00:04:51

(さゆり)確かに 所作も学力も 芸術への見識も大切です➡

00:04:56

ですが この学園におけるレディとは➡

00:05:00

「犠牲と奉仕」の精神を持ち 一族の繁栄を支え➡

00:05:05

格式こそを重んじる大和撫子のこと➡

00:05:09

理解していますね?

00:05:11

(みなみ・園子・マキ)は… はい

00:05:13

鈴ノ宮さん あなたも この学園の理念を身に付け

00:05:17

立派なレディになることを 心より願っていますよ

00:05:22

ありがとうございます 学園長 たゆまず精進いたします

00:05:30

はぁ… 窮屈すぎて圧死しそう!

00:05:36

<泣き言はなしよ りりさ!>

00:05:39

<私には この学園で やるべきことがあるんだから>

00:05:45

<高潔な乙女 ノーブルメイデン>

00:05:49

<それは この桜心女学園で生徒に与えられる>

00:05:52

<最も栄誉と誇りある称号だ>

00:05:56

<いわば日本を代表するレディを意味する その称号は>

00:06:00

<多様な人脈を呼び寄せ>

00:06:02

<一族は より一層の繁栄を約束される>

00:06:06

<私は これを手に入れる>

00:06:09

<そうしなきゃならない理由がある!>

00:06:17

<待ってなさいよ ノーブルメイデン>

00:06:19

<必ずつかみ取ってみせるから…>

00:06:31

あっ…

00:06:41

あっ ごめんなさい…

00:06:57

(音羽)こちらこそ ごめんあそばせ

00:07:03

<はっ… 何だ この…>

00:07:06

<息が止まるほどの美少女お嬢様は…!>

00:07:23

それでは ごきげんよう

00:07:25

は… はい ごきげんよう

00:07:34

(女生徒たち)キャー! ついに桜心女学園

00:07:36

1学年憧憬の的のお二人が!

00:07:38

黒鉄さんと鈴ノ宮さんが 邂逅されましたわ!

00:07:41

はあ?

00:07:43

なんて尊い瞬間でしょう

00:07:45

まるで一枚の絵画のごとくですわ

00:07:48

私には 花が舞っているのが見えました

00:07:52

何ですの? ウフフ…

00:07:54

皆さんが騒ぐのも 無理ありませんわね➡

00:07:58

1年C組 黒鉄音羽さん➡

00:08:01

容姿端麗 品行方正➡

00:08:03

政界の重鎮 黒鉄喜十郎様の御息女で➡

00:08:07

1年生で最も憧れられている方ですわ

00:08:12

ちなみに 次点は鈴ノ宮さんですわよ

00:08:15

えっ まあ! 光栄です オホホホ…

00:08:21

<有名政治家の娘か…>

00:08:23

<確かにお嬢様オーラがすごい>

00:08:26

<ノーブルメイデンになるのは ああいう人なのかも>

00:08:30

<いつか私も あんなふうになってやる>

00:08:35

うん?

00:08:40

これは… ギターのピック?

00:08:44

(足音)

00:08:55

<やっぱり これ ギターのピックよね>

00:08:59

<お嬢様学園に どうして こんなものが落ちてたの?>

00:09:04

(ギターの演奏)

00:09:09

♬~ドブネズミみたいに美しくなりたい

00:09:22

♬~写真には写らない

00:09:29

♬~美しさがあるから

00:09:39

♬~リンダリンダ ⚟うるせえ!

00:09:47

(あくび)

00:09:49

⚟りりささん

00:09:51

あっ… おはようございます お母様

00:09:55

(有花)気を付けなさい

00:09:57

人前であくびなんて 鈴ノ宮の娘 失格ですよ

00:10:02

はい ごめんなさい

00:10:05

私は あなたが恥ずかしい思いをしないように 言ってるだけ

00:10:09

学校は楽しい?

00:10:11

はい とても充実しています

00:10:14

よかったわ 気を付けていってらっしゃいね りりさちゃん

00:10:19

はい お母様 いってきます

00:10:22

(愛莉珠)ふん!

00:10:25

(みなみ)ごきげんよう 鈴ノ宮さん

00:10:27

ごきげんよう 小森さん 素敵な朝ですわね

00:10:31

<ああ~ クソ眠い…>

00:10:34

あら? (みなみ)何でしょう?

00:10:38

どうしたのですか? あっ それが…

00:10:46

ん~ ここにもありませんわね…

00:10:50

<お嬢様なのに なんて はしたない格好を!>

00:10:55

一体 何をしていらっしゃるのでしょう?

00:10:58

何でも この辺りで 大切なものをなくされたそうで…

00:11:04

あら あなたは昨日の… ああ はい

00:11:09

この辺りに変わったものが 落ちていませんでしたか?

00:11:12

このくらいの小さなものなのですが

00:11:16

<やっぱり これは この人の…>

00:11:20

あの それって…

00:11:28

ホホホ… 何でもありませんわ

00:11:31

<一流のお嬢様の捜し物が ピックなわけないじゃない!>

00:11:34

<人前で恥かくところだった! あっぶね~>

00:11:39

そうですか

00:11:41

どうやら ここで落としたのではないようですね

00:11:56

(チャイム)

00:11:59

(2人)ごきげんよう ごきげんよう

00:12:05

<だけど 万が一 これが あの人の大切なものだったら…>

00:12:11

<確信もないし せめて人けのないところで…>

00:12:23

って 何? ここ!

00:12:25

人けがなさすぎて 逆に話しかけづらい!

00:12:30

えっ…

00:12:33

(足音)

00:12:39

(ドアが開く)

00:12:41

旧校舎? 確か 老朽化で今は使われてないって…

00:12:44

(ドアが閉まる)

00:12:58

<あのお嬢様 何しに こんなところに?>

00:13:19

(鳥のさえずり)

00:13:31

(物音)

00:13:35

<ここは…?>

00:13:37

<それに この音…>

00:13:40

(物音)

00:13:47

(ドラムの演奏)

00:13:52

♬~

00:14:05

<お… お嬢様がドラム!?>

00:14:10

♬~

00:14:21

(足音)

00:14:23

あっ…

00:14:33

あっ…

00:14:35

え… え~と… その…

00:14:41

このギターピック あなたのですわよね?

00:14:49

よかった

00:14:55

見つけてくださって ありがとうございます

00:14:59

これは 以前 ある人にいただいた 大切なもので…

00:15:04

で… では 私は これで…

00:15:10

ところで あなた…

00:15:13

ギター 弾かれますよね?

00:15:20

せっかくなので ぜひ 私とセッションしていただけませんか?

00:15:27

何をいきなり… 私 ギターなんて知りませんわ

00:15:31

あら だって これをギターピックだなんて

00:15:35

この学園の方々は そうそう気づかないはずですわ

00:15:40

それに…

00:15:45

この立派な指のタコ ギターでできたものですよね

00:15:51

ねっ! ぜひ 私と交わってみませんか?

00:15:55

(アンプを移動させる)

00:15:59

ほら ギターなら 何本か置いてあります

00:16:02

ピックは こちらを使ってください

00:16:09

<あの日を境に 私は捨てた>

00:16:12

<ロックもギターも>

00:16:18

鈴ノ宮の人間は そんな粗野で やぼなことはしません

00:16:23

ましてや ここは桜心女学園 ギターなんて ふさわしくありませんから

00:16:29

ノーブルメイデンとなるようなレディには

00:16:33

ノーブルメイデン…

00:16:36

私は ここでは何も見ていません あなたも忘れてください

00:16:41

失礼します

00:16:43

そうですか…

00:16:47

(バスドラムの音)

00:16:49

うまくないなら そうおっしゃればいいのに…

00:16:57

<私が…>

00:16:59

(ギターの音)

00:17:01

<下手くそだって!?>

00:17:03

本当に このピック お借りしていいんですの?

00:17:07

大事なものなんでしょ?

00:17:09

構いません 使っていただいた方が そのピックも喜びますわ

00:17:13

そう じゃあ 遠慮なく

00:17:15

学園の方と手合わせできるなんて ドキドキしますわね

00:17:20

どうも ありがとうございます

00:17:22

やるのは さっき あなたが叩いていた曲で いいですわよね?

00:17:26

まあ! ご存じなんですね

00:17:28

もちろんです 他の楽器は音源で

00:17:36

(♬~Ghost Dance)

00:17:41

♬~

00:17:58

<気に入らない>

00:18:00

<多少 叩けるみたいだけど…>

00:18:02

<何の苦労も知らないお嬢様の分際で!>

00:18:06

♬~

00:18:08

<今回だけは特別>

00:18:11

<私のギターテクで この世間知らずの度肝を 嫌というほど抜いてやる!>

00:18:18

♬~

00:18:41

<どうよ? こんな展開>

00:18:43

<お嬢様についてこられる?>

00:18:46

♬~

00:18:54

<こいつ 私に しっかり ついてきてる!?>

00:18:59

<いや それだけじゃない>

00:19:02

<この勢い… この押し出し… このプレッシャー!>

00:19:08

<こいつは ギターをねじ伏せに来ている>

00:19:13

♬~

00:19:20

<ダイナミクスが引っ張られる>

00:19:22

<そのくせ 一切 口答えを許さないリズム感の強さ>

00:19:27

<まるで…>

00:19:38

<奴隷を屈服させる… 女王様!>

00:19:45

<何なの? こいつは>

00:19:53

♬~

00:19:58

<ざけんな! のほほんと生きてきたお嬢様に…>

00:20:02

<ぬるま湯に漬かりながら生きてきた ただの箱入りのお嬢様なんかに!>

00:20:07

<全てを捨てて生きると 覚悟を決めた自分が…>

00:20:11

<負けられないのよ!>

00:20:14

♬~

00:20:40

<あの日を境に捨てた ロック ギター>

00:20:43

<だけど 私のメインパート ここだけは…>

00:20:47

<ここだけは誰にも負けない!>

00:20:49

♬~

00:21:12

<完璧!>

00:21:17

《(真司) お前のギターは最高にイカしてんな➡》

00:21:21

《さすがは 俺の娘だ》

00:21:25

《イヒヒ》

00:21:30

<一度捨てたロック ギター だけど…>

00:21:35

<ああ くそ やっぱ 最高だな~!>

00:21:42

(ドラムの演奏)

00:21:47

♬~

00:21:57

ハァ… ハァ…

00:22:00

ハァ… ハァ… ハァ…

00:22:04

<すごい…>

00:22:06

<悔しいけど 全部持ってかれた>

00:22:13

ハァ… ハァ… ハァ…

00:22:18

ありがと お嬢様にしては あんたもやるじゃない

00:22:26

フ… フフッ ウフフフ…

00:22:31

完全燃焼~!

00:22:35

ひ?

00:22:37

つっまんねえなあ! てめえのギターは!

00:22:42

生きがいいのは はじめだけかよ

00:22:45

何で 急に静かになっちまうんだ?

00:22:47

もしかして 線香花火ですか~?

00:22:50

それとも シケちゃってるんですか~?

00:22:52

もっと燃やせよ! こっちが なえるんだよ!

00:22:58

この不燃ゴミが! そんなギター やめちまえ!

00:23:03

♬~

00:23:18

(戸が開く)

00:23:23

では ごきげんよう

00:23:26

♬~

00:23:42

何なんだ… あの野郎は

00:23:46

<それが 生涯のパートナー>

00:23:50

<黒鉄音羽との出会いだった>


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